■てんかん発作が起きたらどこを観察するのか
てんかん発作が起きると驚いて何をしたらいいのか分からなくなってしまうことがあると思いますが、まずはどのような様子か発作時の様子をしっかりと観察することが大切になってきます。
観察するポイントをいくつかあげますので抑えておきましょう。
①どのように発作が起きたのか把握する
・どこで、何をしているときにおこったのか
・ケガをしたり、病気になっていたりしていたか
・誰が気付いて、近くに誰がいたのか
②てんかん発作の状態
・本人の意識はあるか
・ぼんやりしていたり、眠っているか
・体の震えはあるか
・何秒くらい続いたのか
③けいれんがあった時
・体のどこが震えていたのか
・力を入れたりこわばりがあったか
・息をしていたか
・声はでていたか
・体の左右で差はあったか
④発作後の様子
・ケガをしていないか
・呼吸はできているか
発作が終わったら、無理に起こしたり、水を飲ませたりはしない方がよいです。回復するまでは回復体位を取って、再度発作がないようそばで付き添ってあげましょう。
てんかんが頻発する場合などにはスマホで動画撮影をして、それを医師へ見せて判断を仰ぐなど、わかるように記録をしておくことをお勧めします。
■倒れてしまうほどの大発作
てんかん発作には様々な種類があります。脳全体の激しい興奮が大きな発作を引き起こします。脳の全体に強い興奮がおきると、体がこわばり、全身に痙攣が起きたり、意識がなくなったりすることがあります。てんかんが全くなかったという方でも、成人になってから急に発症するケースもあります。
強直発作(きょうちょくほっさ)
全身がこわばり、体全体に力が入ります。意識を失うと同時に全身の筋肉がぎゅっと固く締まるようになり、体を突っ張らせた状態が続きます。この際に、呼吸がしっかりとできているのか何分間続いているのか確認することが大切です。強直発作が数分間続く場合には救急車を呼ぶ必要もあります。
間代発作(かんたいほっさ)
全身がぶるぶる震えるような発作です。意識がないまま、全身の筋肉がリズミカルに痙攣し、数分間続きます。
強直間対発作(きょうちょくかんたいほっさ)
まず強直発作がおこり、次第に全身がガクガク震える間代発作へ移行します。大発作とも言われ、立てない状態になります。
脱力発作(だつりょくほっさ)
全身の力がだらりと抜けていく発作です。意識を失って倒れてしまうこともあります。力が抜けて立っていられない状態になります。
■体の一部分だけが動く発作もある
てんかん発作には千差万別さまざまな症状がおこります。
ミオクロニー発作
両手や片腕が一瞬ビクッとするような発作。一瞬だけ意識が飛んでしまったり、複数回継続的に起こるものもあります。そんなことは起きればすぐ医師に相談をしてください。
ウエスト症候群
首をこくんこくんと前に曲げる動きや、両足両手をつきのばすような動きを何度も繰り返したりする行為が出ます。乳児期に見られる発作と言われており、非常に珍しい発作です。
焦点性運動発作
脳の一部に働きが乱れやすいところがあるとてんかん発作は、いつも同じところから「小さな異変」が生じる形を取ります。意識があるのに、勝手に体が動いてしまう場合など
失語発作
言葉を理解しようとして話そうとするが思うように発語ができなくなる
前頭葉起源発作
急に大声を出したり、激しい体の動きが起こる発作です。意識の変容はあっても、発作後の回復は早めになります。夜寝ているときに起こりやすいと言われています。
■意識がはっきりしない場合も発作の可能性
普通に起きて生活をしている場面や、眠っているわけではないのに一瞬意識が飛んだり、意識を失く状態を繰り返すことがあれば要注意です。ぼんやりとした状態で歩き回ったりするてんかんの症状もあります。
本人は発作に気づいていないというケースもあります。意識がある状態は脳がまわりからの刺激を察知して、適切に反応できる状態のことをいいます。目覚めている間はつねに意識を保っているのが通常の状態です。しかしてんかん発作があると意識が失われたり、普段よりも意識が低下した状態になることがあります。
状態に不安がある場合は素人判断をせずに必ず、かかりつけの医師に相談をされてください。勝手に決めつけたり、憶測だけで不安に陥らないようにすることが大切です。
他人には分からない感覚だけの発作もある
発作の現れ方として、脳の中で過敏な興奮が起きているものがあります。発作の影響は本人にしか分からない場合があり、感覚の異常や感情の変化として現れることがあります。
■てんかんが起きた時の対応方法
てんかんが起きた時の対応方法は、状況によってそれぞれ違いますが、まずは「安全を確保して見守る!」が鉄則です。自宅内で起きたのか、屋外で起きたのか、また入浴中に起こったのかなどそれぞれの場面によって危険度や安全確保などが違ってきます。
①まずは危険な状況を回避する
・食べ物を食べていれば食事をやめて口の中の物を吐き出す。
・立っていれば座ってもらう、もしくは寝てもらう。(立ったまま支えるのも良いです)
・プールや入浴中であれば溺れないよう中から出す。
・自動車運転中、自転車に乗車中であれば、運転をやめさせる。
・落下してぶつかりそうなものがあれば避けてスペースを空ける。
・料理をしていたり、ストーブなど火気があれば遠ざける。
【質問1】入浴中の回避方法として体重が重い方はどうしたらいいですか?一人では到底持ち上げることが困難です。
【答え1】そのような場合には浴槽の栓を抜いてしまって、お湯を捨ててください。そうすれば溺れることを回避することができます。
大切なことはてんかん発作は自然に収まるのを待つのが鉄則ですので、力を押さえつけて震えを抑えようとしたり、てんかん発作中に水を飲ませようとしないでください。これは間違った処置になります。
②危険を回避することができたら、てんかんが収まるまで見守る。
・全体を観察をする。(体のどこが痙攣をしているのか、息はしているか)
・何分間続いているのか時間を計測してください。
複数人数がいる時には動画で撮影をしてそれを医師に見せる方法もあります。
③てんかんが収まったら
・脈拍数、血圧などバイタルを計測する。
・このまま眠られる方もいます、無理に起こさない。
・必要があれば病院に連絡をして指示をもらう。
・本人が一番怖がっていると思いますので、安心できる声かけをしてください。
※人のよっては失禁をしてしまう場合もあります、そのくらい体に負担がかかり怖いと感じるものですので、その際には十分プライバシーに配慮ができるように心がけてください。
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